BL映画の純愛ものと名高い「ひだまりが聴こえる リミット」3巻が発売されました。
前作の「ひだまりが聴こえる」では難聴のイケメン大学生 杉原航平と同学年の元気者、佐川太一の純愛を取り上げられていましたが、リミットになると二人の関係が少しずつ変わってきています。
それではどういった内容なのか、見ていきましょう。
ひだまりが聴こえる リミット3巻のあらすじやポイント
距離を置こうと言われた太一。
その言葉に動揺する太一は航平と大喧嘩をしてしまいます。
心が噛み合わない二人は、やり直せるのか、恋の行方は?どうなるのかが注目される3巻です。
ひだまりが聴こえる リミット3巻のネタバレと感想
それでは気になるネタバレに入っていきたいと思います。
落ち込む太一、慰めるマヤ、そしてマヤを慰める桜上
距離をおきたいと言われ、意気消沈の太一。
そんな太一の前に大学の後輩だったマヤがやってきます。
二人の仲を知っているマヤは、悩める太一に航平が距離をおきたいと言ったのは太一を縛りたくないからじゃないかと言います。
大切な相手だからこそ少しも苦労なんてかけたくないのだ、とそして「先輩にはあんたの声なら絶対届くんだから」と言い放ちます。
その後、マヤは桜上と会い、彼の前で太一と航平を思って泣きます。
分かり合えない二人のもどかしい恋、マヤがなぜ泣くのかわからないけれど「いくらでも泣いていいから」という桜上。
桜上の中でもマヤの存在が大きくなっていきます。
航平の母、テレビの仕事断り、リュウが謝罪する
航平の家では彼の母親がテレビの仕事を断ったことを知ります。
それは自分のせい?と尋ねる航平に、母は「イケメンに産んだせい」と言って実はテレビ側は航平目当てだったことを伏せます。
そして「人生の主人公は自分なんだからね」と言います。
力強い母に促されつつ、航平は耳の検診のため病院へ。
しかし不安が彼に付き纏います。
その頃、イベント中に客を殴って相手に悪口をネットに書きこまれたリュウ。
会社の仲間がリュウの代わりに謝罪に行っていることを知ります。
なぜ暴力行為をしたか、それはその客が太一を馬鹿にしたからだと仲間は知っていました。
太一はいい人、という仲間に「お前のイラストを褒められて嬉しかったか」と謗るリュウ。
しかしイラストを褒められた仲間は太一は一人の人間として見てくれたからと答えます。
その時、リュウは自分が障碍者だったために兄の恋人が去っていたことなどを思い出します。
そして、太一が絶対に攻略してやる、と言ったことを。
今も仲間が彼のために謝罪をして、実はとてもピンチだと悟ったリュウは客へ自分の意思で謝罪に向かいます。
障害のある世界とその世界に関わる人たち
「その人の時間を奪ってまで幸せになる権利があるのか?」
リュウが学生だった時、学校の先生がそう言いました。先生は自分が大学生だった時に好きだった人の話をします。
それが、太一の会社の社長、崔さんでした。
崔さんは障碍者疑似体験研修会を行いそれに太一が参加します。
目が見えない世界と聴こえない世界、その二つを経験しながら太一は航平に会いにいくことを決めます。
一方、航平は大学の手話サークルのミーティングに参加します。
しかしそこは航平の容姿に惹かれた女の子がいたり、健常者を中心に構成された場、文化祭で手話ソングをすることや音楽が聞けなかったら死ぬという心ない言葉は、聴覚が失われる不安がある航平を苦しめます。
そんな中、航平は通院先の病院で太一の祖父に会います。
太一の祖父より話を聞く航平
太一の祖父になかば強引に家に招かれる航平。
お腹を空かせた太一の祖父に自分の作ったお弁当を渡します。
こんなうまいもんを食わせてもらっていた太一は幸せ者だ、と言われ航平は涙を流します。
そして航平は太一を守ることもできない、自分の耳のせいで幸せにできないと言いますが、太一の祖父はそれは違う、と言います。
そして太一のこれまでの生い立ちや祖母が亡くなったときのこと、存外、太一が寂しがり屋で自分が死んだら誰かいないとといけないから、航平がいてくれたらありがたいと言いますが、航平は自分じゃ役不足だと伝えます。
しかし、太一の祖父は一人じゃねえって思えることは守られてることにならねえか?と説き伏せます。
そしてとっくにあいつを守っているのだと言われ、航平は涙を流すのです。
太一、航平の世界を知る
研修会で体験した視聴覚障碍者世界の感想を社長に聞かれ、太一はあの世界が怖かったと言います。それは見えるとか聞こえないからではなく、そばに人がいなかったからだと。
俺にとって当たり前の世界を、あいつにもそう思って欲しい、という意見に
先輩である千葉は青臭いと言いながらも弟のリュウと重ねます。
その日、太一が家に帰ると祖父がさっきまで航平がいたと言います。祖父に長生きしてくださいと言ったと。
太一はその話を聞いてすぐに航平を追いかけます。
千葉、リュウになぜ手話ビジネスの会社に就職したか話す
千葉が家に戻ると弟のリュウが家に戻っていました。
リュウはずっと千葉が自分のために手話を勉強し、手話ビジネスの会社に就職したのだと思い、自分のために生きろと怒っていたのです。
千葉はリュウにどうして手話をしだしたのかというと手話が好きだったからで、きっかけはリュウだったけれど手話通訳者が夢だった、今は手話を世間にもっと伝えたい、そして「俺の弟になってくれてありがとう」と伝えます。
リュウは、兄の本当の思いを知り一人、庭で泣いてしまいます。
太一、航平と再会する
歩道橋から落ちそうになりながら、やっと航平を捕まえる太一。
航平にどうして距離を置こうと言ったのかと詰め寄ります。
航平は、自分といたら太一がかわいそうだと言います。ですが太一は航平がいたから前に進めたので、自分が可哀想というな、俺の一番大事な奴のことをそんな風にいうな、と言って自分からキスします。
驚きながらも力強く太一を抱きしめる航平。
もう誰にも渡したくないと呟く航平にずっとそばにいろ、という太一。
太一は公平の背に手を回しながら
俺にとっての当たり前がお前にとってもそうあって欲しい、と願います。
新しい道へ 航平、リュウ、太一
フットサルに参加する航平とリュウ。
そこで航平は今のところ、人工内耳を付けないことにしたことをリュウに伝える。
今の航平にはコミュニケーション力が必要で、相手に伝わるか伝わらないかは聴こえる、聞こえないが問題じゃないのだということが分かったからということでした。
それに航平には新しい夢もできていました。
リュウの新作のゲームは人気も上々、今まで嫌っていた会社の取材を受けるようになりました。
世間にゲームの存在を知ってもらいたい、ハンデを持っていることを思わせないくらいいいものを作ればいいんだと意気揚々です。
成長していく航平とリュウ、遅れてやってきた太一。
ですが、リュウは太一を見るとちょっかい出したくなるくらい気に入っている模様。
天邪鬼のリュウに猪突猛進の太一、ハラハラする公平の3人の姿がそこにありました。
ひだまりが聴こえる リミット3巻の感想まとめ
読んだ後、二人の気持ちがあまりにも相手のことを考えすぎていて、もどかしくてしようがない、と思っていた人が多かったかもしれません。
ですが、最終回はやはり納得、でした。ハッピーエンド、と一言でいうだけでは言葉が足りません。
尊い二人が選んだ答えが実に素晴らしいのです。
そして、このリミットでは太一が航平の思っているよりもずっと航平が好きだったことがよくわかるお話です。
それは一言一言に想いが強く何度読んでも胸に染み渡ります。
そして、前回より遥かに二人の距離感が狭まっています。
3巻の航平に詰め寄る太一が航平の顔を両手で挟んでじっと目を見て、涙を流しながらの告白シーン。
読んでいる方もドキドキでした。
航平と太一の恋愛を軸に二人の周りの人間関係も少しずつ変わってくるところや過去に見える伏線などそれを紐解いていくと見えてくる愛の物語。
その優しいストーリー展開がどこまでも美しく、文芸作品を見せられた読後感は文乃先生の作品ならではでしょう。
人と人との出会いから生まれていく優しい物語なので、BLファンのみならず多くの人に読んでもらいたいと思う一冊です。
コメント